腰部脊柱管狭窄症とはどのような病気か
腰部脊柱管狭窄症(読み方「ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう」)とは、文字通り、腰のあたりの脊柱管が狭窄する(狭くなる)疾患のことをいいます。
中高年に多く発症し、さまざまな症状を引き起こします。
「脊柱」とは、背骨(せぼね)のことであり、背骨を構成している一つ一つの骨のことを「椎骨」と呼びます。(*1)
脊柱は部位ごとに「頚椎」「胸椎」「腰椎」「仙椎」「尾椎」の5つに分類され、頚椎は7個、胸椎は12個、腰椎は5個の椎骨によって構成されています。
腰部脊柱管狭窄症は、主にこの腰椎部に障害が生じる疾患です。
脊柱管とは背骨にある脊髄(神経)の通り道であり、椎骨が連なってできたトンネル状の管のことをいいます。
椎骨は椎体、椎弓、椎弓根という部位によって構成されており、前方に支柱となる椎弓が、後方には弓のような形をした椎弓があり、椎弓と椎体は椎弓根によって結ばれています。
この椎骨がいくつも連なることで、椎体の後ろにトンネル状の管ができ、その管のことを脊柱管と呼ぶのです。
脊柱管狭窄症とは、何らかの原因によりこの脊柱管が狭くなり、それによって脊柱管の内部を走っている神経が障害される疾患です。
脊柱管狭窄症には、腰部(肋骨からお尻の一番下までの部位)に発症する腰部脊柱管狭窄症と、首(頚椎)に発症する頚椎脊柱管狭窄症がありますが、それぞれ異なる神経が障害を受けているため、出現する症状も異なります。(*2)
しかしいずれも中高齢の人に多く発症するという特徴があり、決して珍しい疾患ではありません。
なお、頚椎部、胸椎部または腰椎部のうち、いずれか2か所以上の脊柱管が狭小化することで神経症状が出現し、日常生活に支障が生じる場合には指定難病である「広範脊柱管狭窄症」と診断され、医療費助成を申請することができます。(*3)
(*1)脊髄外科 VOL.28 NO.3 2014年12月
(*2)全国健康保険協会
(*3)公益財団法人 難病医学研究財団/難病情報センター
初期にどのような症状に注意すれば
悪化を防げるのか?
腰部脊柱管狭窄症を発症すると、主に、以下の症状が現れます。
- 下肢がしびれる、痛む
- 下肢が麻痺する、脱力する
- 足がもつれる
- 間欠性跛行(かんけつはこう)
腰部脊柱管狭窄症では、腰の痛みはあってもそれほど強くありません。それよりも、しびれや麻痺、脱力といった神経症状が出現することが多く、特に、腰部脊柱管狭窄症の特徴的な症状が間欠性跛行です。
間欠性跛行とは、「一定の時間あるいは距離を歩くと、足がしびれたり、痛んだり、脱力を感じたりし、それ以上歩けなくなってしまうが、しばらく休憩すると、また歩行ができるようになる」という状態のことをいいます。(*4)
腰部脊柱管狭窄症による間欠性跛行の特徴は、姿勢を変えると症状が変化するということです。
たとえば歩行時に痛みやしびれを感じて休息し、その際に体を前屈したり、しゃがんだりすると、症状が和らぐことがあります。
しかし再び歩き始めるとまた同様の症状が出現するので、長い時間や距離を歩くことができなくなります。
そのため間欠性跛行を放置すると下肢の運動機能が次第に低下し、ロコモティブシンドロームに至るリスクがあります。
ロコモティブシンドローム(通称ロコモ)とは、骨・関節・筋肉・神経など運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態のことをいい、要介護認定となるリスクが高くなるとされています。(*5)
そのほか、腰部脊柱管狭窄症が進行すると、以下の症状が出現することがあります。
- 股間がほてる
- 排尿後に残尿感が残る(排尿後、まだ尿を出し切っていない感じがする)
- 頻尿になる、夜間尿が多くなる
- 便秘になる
- 尿失禁や便失禁が起きる (*6)
これらのなかで、特に気をつけたいのが残尿感や頻尿、失禁などの膀胱直腸障害です。
なぜ、腰部脊柱管狭窄症になると膀胱直腸障害が起きるのかというと、脊柱管が狭窄することによって、馬尾神経が圧迫されるためです。
脊柱管狭窄症には神経根性と馬尾性の2種類があります。
- 神経根性 神経根(脊髄から左右に枝分かれする細い神経)が障害を受ける
- 馬尾性 馬尾神経(脊柱管の中央を走る神経)が障害を受ける
場合によっては、1と2が併存する混合型もありますが、基本的に、神経根性と馬尾性では、出現する症状が異なります。
神経根性の場合には両側または片側の臀部や下肢の痛みが出現するのに対し、馬尾性の場合には疼痛は少なく、両下肢、お尻、会陰部などのしびれ、灼熱感、ほてりなどが生じたり、下肢の脱力が感じられたりします。
さらに進行すると残尿感をはじめとする膀胱直腸障害が生じます。
なぜ、馬尾型だと膀胱直腸障害が起きるのかというと、馬尾神経は膀胱の機能とも深い関わりを持っているから。
そのため、この神経が圧迫されると尿漏れなど膀胱直腸障害が生じるのです。
一般に、神経根型に比べて馬尾型の方が、重症度が高く、特に膀胱直腸障害が見られる場合には、急いで治療を行う必要があるとされています。
そのほか、神経への血流が障害を受けることによって血行不良となり、神経にむくみや変性が起こり、痛みやしびれが生じる事もあります。
(*4)難病情報センター
(*5)ロコモティブ新ドローム予防啓発公式サイト
(*6)公益社団法人 日本整形外科学会
主な原因は加齢、
とくに40代以降の中高年は要注意
腰部脊柱管狭窄症の主な原因は、加齢です。
つまり加齢に伴うさまざまな組織の老化により、脊柱管の狭窄が生じているのです。
脊柱管の狭窄は、椎間関節や黄色靭帯、椎間板の変性によって発症します。
椎間関節とは椎骨と椎骨の間あるに関節のことで、脊柱の後方における加重を受ける重要な組織です。(*7)
また黄色靭帯とは、脊髄の後ろにある椎弓を上下につなぐ靭帯のことであり、脊椎を安定させたり、柔軟な運動を可能にしたりする働きを担っています。
それから椎間板とは、椎骨と椎骨の間に存在し、クッションの役割を果たしている軟骨で、外側の線維輪と、ゼラチン状の髄核によって構成されています。
通常、脊柱管はこれらの組織によって保護され、安定性を保っていますが、加齢とともに、これらはどんどん変性していきます。
たとえば、椎間板は加齢によって体内の水分量が減少すると、みずみずしさが失われて次第に潰れやすくなってしまいます。
そのため、周囲の関節や靭帯、筋肉などに負荷がかかり、関節や靭帯は安定性を保持するために肥厚します。
そうなると脊柱管は、前方からは膨隆した椎間板に、後方からは分厚くなった黄色靭帯に圧迫されることになり、狭窄が進みます。
その結果、脊柱管の内部を走る神経が圧迫され、さまざまな神経症状を出現させるのです。
発症部位は、腰椎の4番と5番の間が最も多く、ついで3番と4番の間とされています。
こうした変化は可逆性のものではなく、年を重ねれば重ねるほど状態がどんどん悪化していきます。
そのため、高齢になるほど腰部脊柱管狭窄症の発症率は高くなり、とりわけ今後、ますます高齢化が進むとされる日本においては、患者数の増大が見込まれているのです。
そのほか、腰の負担が大きい作業を繰り返し行ったり、肥満だったりすることで腰椎に過度な負荷がかかり、黄色靭帯が肥厚して脊柱管狭窄症を発症するケースもあります。また、骨粗しょう症によって圧迫骨折や側弯症が起こり、骨が変形することで脊柱管が圧迫されて神経障害が出現することもあります。
さらに近年ではストレスや喫煙との関係性も指摘されていますし、生まれつき脊柱管が狭いために狭窄症を発症する人もいます。
(*7) 日本腰痛会誌,13(1): 24 – 30, 2007
腰部脊柱管狭窄症が疑われるときの検査
たとえば年齢が中高齢であり、下肢に痛みやしびれなどの症状が見られたり、間欠性跛行が発生していたりするときには、腰部脊柱管狭窄症を疑います。
それらの症状が、立ったり歩いたりしたときに悪化し、座ったり前屈みになったりしたときに和らぐのであれば、腰部脊柱管狭窄症である疑いはますます強くなります。
そのようなときには、より詳細に診断するため、レントゲン検査やMRI検査、脊髄造影などの検査を行います。
レントゲン検査では背骨全体を観察することができ、背骨の並びがずれていないか、骨の変形が進んでいないかなどを確認することができます。
またMRI検査では、神経や椎間板などをはっきり映し出すことができるため、脊柱管がどれくらい圧迫を受けているのかなどを細かく調べることができます。
ただし、狭窄が強いからといって症状も強く出るわけではないので、注意が必要です。
また、脊髄造影検査とはミエログラフィーとも呼ばれる検査であり、脊柱管の内部を走っている神経組織の、どの部分が圧迫を受けているのか、また、どのくらいの強度で圧迫を受けているのかなどを調べることができます。
脊髄造影検査では、患者は横を向いた姿勢で寝て、背中をかがめます。
そこへ細い針を使用して、腰椎の硬膜へヨード造影剤を注入します。
硬膜とは脊髄を覆っている膜のひとつであり、そこに造影剤を注入することで画像のコントラストが一層明確になり、狭窄部位がどこにあるのかなどを確認することができます。検査では頭を下げたり、足を上げたりして、造影剤を患部へ移動させてから、レントゲンとCTを撮影します。
そのほか、下肢の感覚異常があるかどうか調べたり、筋力低下のチェック(神経学的検査)、SLRテスト(下肢伸展挙上試験)、FNSテスト(大腿神経伸展試験)を行ったりすることもあります。
こうした検査ののち、症状、診察所見、画像検査などを総合して腰部脊柱管狭窄症と判断します。
この際、とても重要なのが、他の疾患との鑑別です。
たとえば下肢の血栓性静脈炎や動脈硬化症などの血流障害が起きているときにも、腰部脊柱管狭窄症と同様の症状が出現することがあります。
特に下肢閉塞性動脈硬化症では、足の血管が動脈硬化を起こして血管が狭くなったり、詰まったりします。(*8)
こうなると足への血流が悪くなり、下肢のしびれや疼痛が生じたり、間欠性跛行が起きたりすることがあります。
鑑別を確実に行い、他の疾患の可能性が排除されて初めて、腰部脊柱管狭窄症と診断され、治療へ進むことになります。
(*8)公益社団法人 日本整形外科学会
保存療法と手術療法の2種類、
それぞれの選択基準とは
腰部脊柱管狭窄症の治療は、大きく分けて、「保存療法」と「手術療法」の2種類があります。
保存療法とは外科的な手術を伴わない治療であるため、侵襲性が低く、高齢者でも安心して受けることができます。あくまで症状を和らげることが目的ではありますが、それにより時間を稼いでいると、腰椎の運動範囲などが減ることなどにより、症状が山を越えてくれることがありますので、決して刹那的な治療というわけではありません。
しかし、保存療法では脊柱管の狭窄を解消することはできません。そのため、しびれや麻痺など神経症状が強く出ていて保存療法では改善できない場合、あるいは、膀胱直腸障害など強い神経障害がある場合には、手術を検討する必要があります。
1.保存療法
腰部脊柱管狭窄症の保存療法には、主に以下のものがあります。
- 薬物療法
- 運動療法
- 注射 (*9)
まず薬物療法では、非ステロイド系消炎鎮痛薬の内服薬や湿布などの貼り薬、塗り薬などを使用して、痛みやしびれの改善をめざします。
特に急性期の痛みに対してはコルセットを装着し、腰の安定を保持しつつ消炎鎮痛効果のある湿布を使用するのが効果的です。
急激な痛みやしびれが起きたときには症状を悪化させないように、安静にしなければなりません。
しかし必要以上に長期間、安静にしていると筋力や柔軟性が低下し、回復が遅くなります。
そのため、ある程度痛みなどの症状が落ち着いたら運動療法を開始します。
腰部脊柱管狭窄症の場合、腰をそらせると神経が刺激され、症状が強く出るため、できるだけ腰を丸めるストレッチや、体幹を鍛えるトレーニングが有効です。
また、痛みが強い場合には神経ブロック注射を行うこともあります。
これは狭窄している場所に直接、局所麻酔薬を注射する治療であり、痛みが軽減されるだけでなく、血管を拡張したり、凝り固まった筋肉をほぐしたりして症状を軽くする効果が期待できます。
(*9)公益社団法人 日本整形外科学会
2.手術療法
ガイドラインにも述べられている通り、腰部脊柱管狭窄症の手術には神経症状を軽減する「除圧」のみで行われる術式と、徐圧に加え、脊椎の安定性を保つことを目的に「固定」を併用する術式に区別することができます。(*10)
主な術式は以下の通りです。
1.顕微鏡下椎弓切除術
椎弓の一部と黄色靭帯を切除し、脊柱管を広げて神経の圧迫を取り除くことで、神経症状を解消する。
2.顕微鏡下拡大開窓手術
肥厚した黄色靭帯を切除して脊柱管の内部を広げ、神経への圧迫を解除する。
3.後方椎体固定
椎弓の一部を切除して神経を除圧したあと、椎間板を取り除く。その部分にケージと呼ばれる人工物を挿入し、椎間の安定性を保つ。除圧と固定を併用する術式。
4.前方後方側方固定
腰椎側方椎体間固定術(XLIF)とも言われる。一部の椎間板を取り除いて除圧する点は後方椎体固定と変わらないが、横向き(側臥位)の姿勢で切開することで椎弓を切除する必要がなくなり、安全かつ低侵襲の手術が可能になった。
5.前方後方同時固定
後方椎体固定では不十分と思われる場合、「3 後方椎体固定」の術式に加えて前方からもアプローチし、固定の追加を行う。これにより椎間の安定性がさらに高まる。
6.腰椎制動術
腰椎の後方にある棘突起(背中の中心にあり、手で触れることができる骨)の間にスペーサーという金属を挿入することで、間接的に除圧を目指す。狭窄している脊柱管の圧迫を直接解除するものではないため、治療効果は70〜80%程度とされているが、皮膚切開の面積が狭く、術後の疼痛も少ないため侵襲が少ないのが特徴。手術は局所麻酔で行われ、短時間で終了するため、高齢者や、他の疾患の影響で全身麻酔が使えない人でも手術を受けることができる。術後2日程度で退院可能。
腰部脊柱管狭窄症の手術には、さまざまな術式がありますが、狭窄の程度や病態などを考慮しながら術式を決定します。
これまでは肉眼あるいは内視鏡下で手術を行うのが一般的でしたが、近年では手術用の顕微鏡を用いて脊椎の手術を行う医療機関も目立ってきました。
手術用顕微鏡を用いることで、以下のメリットを得ることができます。
- 精度が高い手術が期待できる
手術用の顕微鏡は非常に視野が広く、術野を数倍〜数十倍まで拡大することができる。そのため精度を高めることができ、繊細な作業を必要とする手術では非常に有効である。
- 傷が小さく、低侵襲である
手術では、患部が深くなればなるほど術野が暗くなる。通常だと、光を多く取り入れるため傷口を大きくしなければならないが、手術用の顕微鏡には強力な光源があるため、傷口を大きくしなくても明るさを確保できる。
- 出血量が少なく、回復が早い
傷口が小さいため、出血量が少なくて済む。回復も早く、早期の日常生活復帰が期待できる。
手術用の顕微鏡を用いた脊椎手術を行っている医療機関は、現在、それほど多くありません。
しかし顕微鏡下での手術は非常に精度が高く、正確性が増すため今後は主流になるのではないかと考えられています。
現在では従来のように、整形外科医による脊椎の手術だけでなく、脳神経外科医が執刀する医療機関も増えています。
脳神経外科医は、手術で主に顕微鏡を用いるため顕微鏡下での手術に慣れています。
また、脳神経外科の手術では細かな神経を扱うことが多く、医師は非常に繊細な作業を行うのに習熟しています。
こうした特性を活かし、脳神経外科医が頸椎や胸椎、腰椎など脊椎の手術を行うケースが増えているのです。
しかし疾患や病態によっては、顕微鏡下で行うのではなく内視鏡下や肉眼で行った方が適していることもあります。
またすべての工程(削除)行程を顕微鏡下で行うのではなく、一部のみ顕微鏡を使用して、その他は内視鏡や肉眼で行った方が良い場合もあります。
そのため顕微鏡下で行うか、あるいは内視鏡下や肉眼で行うかは、症例に合わせて考慮する必要があります。
ちなみに、これらの手術は一般に保険適用ですが、なかには保険適用外のものもあります。
保険適用外の場合には、治療費が医療機関によって異なるため、必ず確認するようにしましょう。
(*10) 腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021
手術後のリハビリには
どれくらいの期間が必要なのか
手術のあとには、リハビリを行う必要があります。
手術の直後はコルセットを腰椎に装着し、主治医から許可が出るまで安静にして過ごします。
その後、早ければ手術後2日目には歩行の練習を開始します。
その際には歩行器を使って病室内を歩く練習からはじめ、少しずつ距離を伸ばすようにします。
あわせて、座位、立位、歩行などを行って、筋力や知覚、姿勢などに異常がないか、動作は正常かということを確認します。
術後に行うリハビリとして、一般に以下のものが行われます。
- ストレッチ
- 筋力強化訓練(特に股関節周囲、両下肢、体幹)
- バランス・姿勢訓練
現在では脊椎手術の低侵襲化が進んでおり、できるだけ早期にリハビリを開始することで筋肉量や筋力の低下を防ぎ、より早く日常生活へ復帰できるようにすることが重要と考えられています。(*11)
特に術前、しびれや痛みなどのために体を動かせなかった期間、低下していた筋力や体力をリハビリによって回復することは、スムーズな社会復帰にはとても重要です。
(*11)理学療法学 Vol.42 Suppl. No.2 (第50回日本理学療法学術大会 抄録集)
発症・再発予防のために、
日常生活で気を付けること
腰部脊柱管狭窄症を発症させない、あるいは、再発させないためには、日常生活でどのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
代表的なものを挙げます。
- 腰に負担をかけない(重いものを持つ、腰をひねる、背中を反らせる、中腰になる、といった動作を避ける)
- 腰を冷やさない
- 長時間、同じ姿勢を取らない
- できるだけ運動をして筋力の低下を防ぐ (*12)
特に重要なのは、腰に負担をかけないということです。
普段、座るときにも姿勢に気をつけ、たとえば「椅子には浅く座らず、深く座る」など、日常的に姿勢を正しく保つことを意識しましょう。
それから、腰を激しくひねる動作が多いスポーツは避けた方が良いとされています。
ただし体を動かさずにいると筋力が低下し、正しい姿勢を維持することが難しくなり、ますます腰に負担がかかる、という悪循環が生じることもあります。
そのため、医師と相談しながら無理のない範囲で運動を継続するようにしましょう。
また、脊柱管狭窄症を自分で治す方法としてストレッチなどが紹介されているメディアもありますが、正しく行えば効果は期待できるものの、運動の仕方を誤るとかえって症状を悪化させてしまうこともあります。
ストレッチや運動を行うときには正しい姿勢で行うことを心がけ、できれば理学療法士やトレーナーなどに指導してもらうと良いでしょう。
それから、寝る姿勢や座る時の姿勢など、普段から痛みを誘発しない姿勢を心がけることも重要です。
たとえば寝るときには横向きになり、体を丸めるようにすると腰が反らず、痛みが出にくくなります。
(*12)一般社団法人 大阪府医師会
「おかしいな?」と思ったら医療機関で早めの受診を
放置すると寝たきりのリスクが高まり、将来的に要介護の状態となるかもしれない腰部脊柱管狭窄症。症状を進行させないためには、初期のうちに医療介入を行う必要があります。「おかしいな」と思ったら早めに整形外科や神経外科を受診し、検査を受けるようにしましょう。